スケーリングのジレンマ。さよならGunosy、こんにちはグノシー。
スケーリングのジレンマについて。
流行ることは、廃れることだ。
だがしかし、流行らなくてはそもそも廃れていく。
そんなことを実感した一日でした。
Gunosyというアプリがある。
https://itunes.apple.com/jp/app/xianinyusu-apurigunosy/id590384791?mt=8
いわゆるキュレーションメディアと呼ばれる、「その人が読みたいと思うであろう記事を自動で集める」アプリ。
本日、正式にアップデートのかかったこのニュースアプリが今日の話題です。
ぶっちゃけ、情報収集には困っていないので、そこまで積極活用はしていなかったものの広告領域でいろいろ取り組みをさせてもらっている部分もあり、週に数回はまとめてどかっと読むようにしていた。
昨日はとにかくシンプル。朝刊と夕刊が送られてくる。開いて、読む。それだけ。
基本的にユーザーは情報感度の高い、Web系ビジネスマン。
リテラシーと意識が高くて、そんな人たちが使うメディアだった。
だった。
前のバージョンでは、iOSアプリを中心に150万DLを達成したらしい。
彼らに競合がいる。名をSmartNewsという。
https://itunes.apple.com/jp/app/nyusuga-quan-waidemosakusaku/id579581125?mt=8
こちらは300万DLを突破しているのだそうだ。
こちらのアプリはとにかく網羅性なんかに気を使っていて、エンタメのタブなど話題をとにかく豊富に持ってくる。
タブをくるくる回して興味あるニュースに目を通す、そんなアプリである。
本日、
Gunosyは、その名を「グノシー」とし、SmartNewsにかなり近いUIと機能性をリリースした。
Gunosyは、SmartNewsになってしまった。
目的は明確で、事業の拡大である。(と思う。)
彼らのインプレッション(アプリを使われる回数=広告の表示回数)は、それこそ他のインターネットメディアの数十倍、数百倍で取引される。
理由としては、とにかく広告効果がよく、すばらしくプレミアムな配信枠であるからだ。
この高単価な化け物メディアは、本当に業界を揺るがす広告効果を発揮している。
とはいえ、まだまだ言ってしまえば150万DL。小さくはないが、圧倒的な存在ではない。
彼らが、LINEのようなインパクトを残すのに足りないもの、それが「規模感」だ。
高単価で、かつ市場ニーズがある。
在庫の拡大をすべきなのは、誰が見ても明らかだ。
ものごとは大きくすると陳腐化する。それはアプリに限った話ではない。
インディーズではエッジの利いていたバンドが、ミュージックステーションに出るのを機に、ありがちなPops路線になってしまう。
きわどいことにがんがん挑戦していた深夜番組が、ゴールデンに進出するのを機に、旬なゲストと話題のスポットを回るだけの腑抜けた番組になってしまう。
ネットでは面白かったブログが、テレビドラマになると安っぽさに寒気がする。
それは仕方のないことだ。
たくさんの人には、たくさんの価値観がある。
そこをハズさないようにするには、つまり「ありがち」なものに近づけるのが最も簡単だったりする。
「どんな人にも使ってもらえるようにする」には、トゲも毒もエッジもいらない。
拡大したいのであれば、みんなにとって、ほどほど良いものにすればいい。いや、しなければならない。
プロダクトが良すぎても悪すぎても、成長を阻害する反乱分子は必ず発生する。
天邪鬼は、いる。し、その犯人は世の中のルールだったりする。
それらの存在を最小限にするのは、ほどほどの「しょうがない」感だったりする。
天邪鬼のやりがいを奪うのだ。
みんなそうしてきた。みんな。
おもしろいものは、おもしろくあり続けることを頑張れるが、
面白さをそのまま保ち続けることは出来ない。
一方で新しいことは批判・否定される。
それが上手くいけばそれはコピーされ、数が集まりコモディティ化し、そしてどこでも目にするようになり陳腐化する。
仕方がない。
だから、形を変えなければならない。
今回のアップデートは、そういう決断だったのだろう。たぶん。
天晴れ。そういう決断が出来るって、すごい。
今後もみんなの役に立つサービスとして、スマートフォンの最前面に居座るアイコンであってほしい。
引き続き、超注目企業です。
と、思ったわけでした。
なんつって。